クローズアップされる男性更年期障害

更年期障害とは性ホルモンの低下に伴い、からだや心にさまざまな変調をきたす病態を言います。女性の場合には閉経という明らかな生理的変化が生じるため、その頃におきる顔面紅潮、発汗、動悸、手足のしびれや冷え、肩こりなどの自律神経失調症状と不眠や倦怠感を含むうつ状態に代表される精神神経症状が更年期障害として古くから認知されていました。

これに対して男性の場合は加齢に伴う男性ホルモンの低下も緩徐で個人差も大きいため、更年期障害の存在そのものが疑問視されていました。ところが、バブルがはじけた厳しい経済状況、社会や家庭への責務がストレスとなり、40・50歳代の男性たちは次第にからだや心の変調に気づき始めています。からだがだるく、動悸やめまいがする、出社が億劫になり、夜もよく眠れない、性欲が低下し、勃起障害がある、などなど・・・。かかりつけの先生に「どこも異常ありませんよ」と言われたら、男性更年期障害を疑ってみましょう!

症状にはどんなものがあるの?

大きく3つに分類され、複数の症状が同時に出ることもあります。

1. 精神神経症状

疲労感、ゆううつ、さまざまな不安感、不眠、食欲低下、集中力の低下など。

2. 身体症状

心血管系:のぼせ、ほてり、手足の冷え、動悸、発汗など。
感覚器系:頭痛、めまい、耳鳴り、手足のしびれなど。
運動器系:筋力低下、運動能力の低下など。

3. 性機能障害

性欲の減退、勃起障害(ED)など。

診断はどうすればいいの?

次の問診表にお答えください。“はい”という答えが3つ以上あったら男性更年期障害の疑いがあるとお考えください。

【質問】最近、・・・・

  1. 性欲(セックスをしたいという気持ち)の低下がありますか?
  2. 元気がなくなってきましたか?
  3. 体力あるいは持続力の低下はありますか?
  4. 身長が低くなりましたか?
  5. “日々の愉しみ”が少なくなったと感じていますか?
  6. もの悲しい気分、怒りっぽいですか?
  7. 勃起力は弱くなりましたか?
  8. 運動する能力が低下したと感じていますか?
  9. 夕食後、うたた寝をすることがありますか?
  10. 仕事の能率が低下したと感じていますか?

来院いただいた患者様には、診断を確定するために、さらに詳細な問診(問診表にお答えいただいたり、直接医師とおはなしをしたり)と採血や前立腺の検査なども行います。

どんな治療は受けられますか?

男性更年期の原因は、加齢に伴う男性ホルモンの減少と言われています。ホルモン検査で値の低下した患者様にはホルモン補充療法をおこないます。

ホルモン補充療法(ART)は1ヶ月毎に1回の注射でホルモンを補います。ですから、外来受診は1ヶ月に1度で結構です。補助的に漢方薬を処方することもあります。症状の改善が見られたたら、6ヶ月で治療を打ち切り、外来で経過観察となります。

また、主治医が性機能障害を主症状と考えた患者様にはED外来への受診をお勧めします。精神神経症状が強いと診断した場合には心療内科・精神科の先生と協力して診断・治療に当たっています。 さらに、それぞれの治療より生じる可能性のある副作用については、外来で厳重に観察いたします。

いつ行けば診てもらえるの?

まずは通常の泌尿器科外来初診の窓口にお越しください。藤田医科大学病院では、毎週月曜日から土曜日 午前8時45分から12時まで診察を行っています。
どうぞお気軽に泌尿器科のドアを叩いてみてください。男性更年期は決して重篤な病気ではなく、誰もが感じる生理的な加齢に伴う変化のひとつなのですから!